再生医療科便り(3)〜ガンと免疫3「つるつるとでこぼこと」〜
2018年02月22日
再生医療科便り
再生医療科の齊藤です。皆様如何お過ごしですか。病院に来られるときは道中お気をつけ下さい。
今回は、リンパ球とガンについてお話しします。
最初に、動物さんや私たちを形作っている細胞についてお話しします。
生物について学び始めた頃、私の細胞の印象は、表面が「つるつる」のボールでした。ちょうど写真の地球ような感じです。
しかし、学び続けているうちに、細胞の表面は、「つるつる」ではなく、「でこぼこ」していることを知りました。ちょうどビルの屋上にアンテナが立っていたり出入り口がついていたりという感じです。
実際、細胞の表面には、アンテナがあり外の様子をうかがうこともできますし、出入り口を通して細胞の内外で物のやりとりをしたりします。中には、手のような物がついていて隣の細胞とつながったり、旗立台があって先に旗がヒラヒラしていたりします。
このような構造物が、動物を形作っている細胞にも、細菌やウィルスにもあります。そしてガン細胞にも。そして、細菌には細菌独特の、ウィルスにはウィルス独特の構造物があります。実は、ガン細胞にもオリジナルの構造物があることが分かっています。
前回、「リンパ球が、細菌、ウィルス、そしてガン細胞が持つ特徴を手がかりにして、これらをやっつけたり働けなくする」と、申し上げましたが、この手がかりこそは、実は先にお話しした構造物であることが多いのです。
ガン細胞であれ、細菌であれ、その独特の構造物を「身の内」の物でないと判断し、これらをやっつける、働けなくするというのがリンパ球の仕事の流儀です。
今回は、細胞のお話を中心にリンパ球とガンの関係について掘り下げてお話ししました。このお話、実はリンパ球とガンの攻防戦の第一幕にあたります。次回は第二幕についてお話ししたいと思います。