再生医療科便り(4)〜ガンと免疫4「変装、手がかり消失」〜
2018年02月23日
再生医療科の齊藤です。。
ここまで、免疫とガンの関係についてお話ししてきました。
1回目では免疫力を再生させて、すなわちリンパ球を元気にしてガンに対抗する治療法があることをお伝えしました。
そして2回目ではではリンパ球がガンに対抗するために、ガン細胞の特徴を手がかりにすること、3回目では、その手がかりが細胞の表面の構造物であることが多いことをお話ししました。
いわば、リンパ球とはジョン・ウェインのような凄腕の保安官で、手配書(これにガン細胞の特徴が書かれている)にぴったりの者(ガン細胞)を片っ端からやっつけていきます。これで悪者は消えてめでたしめでたしと言いたいところなのですが、そうは問屋が卸さないのです。その理由は二つあります。
一つ目は、リンパ球は優秀だけど、融通の利かない保安官であることです。
二つ目は、ガン細胞は「変装」することです。どういうことかと申しますと、ガン細胞は自身の特徴である細胞表面の構造物を隠したり、その構造を変化させるのです。
このため、手配書通りのガン細胞には滅法強い、わが愛しきリンパ球ですが、融通が利かない分、ちょっと変装したガン細胞は見逃してしまうのです。そしてガン細胞は増える・・・。
前回、予告しましたリンパ球とガンの攻防戦の第二幕の内容とはこのようなものです。題して「変装、手がかり消失」です。
次回はいよいよ攻防戦のフィナーレ、第三幕についてお話ししたいと思います。