再生医療科便り(5)〜ガンと免疫5「付いて離れて付いて・・・」〜
2018年02月24日
再生医療科の齊藤です。
さて、「ガンと免疫」ということで始まったこのお便りですが、ここ3回はガンと免疫のしのぎを削る戦いの様子を書かせていただきました。今回は戦いの最終幕についてお伝えします。題して「付いて離れて付いて・・・」。
わが優秀なリンパ球は、ガン細胞の特徴を手がかりにガン細胞を見つけてはやっつます。この手がかりは細胞の表面の構造物であることが多いです。
一方、敵役のガン細胞も黙って指をくわえてはおらず、手がかりを隠したり、変装したりしてリンパ球の目をごまかそうとします。しかし、この方法には限界があります。と言いますのも、隠した手がかりは、ガン細胞が生きて行く上で必要なものだからです。ですからほとぼりの冷めた所でそーと細胞表面に出すのですが、リンパ球に見つけられて御用となります。
変装しても事情は変わりません。融通の利かないリンパ球ですので、一時見逃してしましますが、「あれ、身内じゃないや」と気付き、やっつけにいきます。
そうなると、リンパ球はまた・・・。
そうなのです。ガンとリンパ球の攻防戦は付いては離れのいたちごっこなのです。
以上、ガンとリンパ球の戦いの大まかな流れに付いてお話ししました。
次回からは、当院でやっている免疫療法のご説明に入りたいと思います。そこでは、リンパ球を始めとして多士済々の細胞や道具が登場して、話は少しややこしくなります。しかし、背景には2回目からお伝えしたガンとリンパ球の戦いの流れがあります。そのことを頭の隅にでもお留めいただいて、以後もおつきあい願えればと存じます。
最後になりましたが、今回のお話のイメージは映画「キャノンボール」の冒頭シーン、カウンタックとポリストランザムのバトルです。先月のジョン・ウェインといい、おまえさん、映画好きかいと思われる方もいるかも知れませんが、はい、親の代からの映画好きです。
再生医療科 齊藤正二