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再生医療科便り(7)〜活性化リンパ球療法について2「最初の関門」〜

2018年02月27日

再生医療科便り(7)〜活性化リンパ球療法について2「最初の関門」〜

 再生医療科の齊藤です。
 
 前回より当院で実施できる免疫療法のうち「活性化リンパ球療法」に説明に入りました。
 
 「活性化」とは、リンパ球を「元気にする」ことを意味します。
 また、この治療法の流れは図にありますように、採血、リンパ球を元気にする・リンパ球を増やす、これを患者さんに点滴する、となります。
 図から解りますように、患者さんが関わるのは、採血と点滴です。時間にして二時間程度、麻酔を用いない、自分のリンパ球を利用するのなど特長があります。
 
 以上が前回のまとめです。今回は、治療法の最初のステップである採血について述べたいと思います。
 活性化リンパ球療法での採血の特徴は、採血に先立ち患者さんの毛を刈らせてもらうことです。通常の採血ではあまり毛刈りはしません。この療法で、毛刈りをする理由は、採血に使う注射針が毛や皮膚に付いている細菌で「汚れる」のを極力防ぐことにあります。
 
 活性化リンパ球療法を含め、ある特定の細胞(ここではリンパ球)を生かしたり、増やすことが必要となる治療法において、最大の敵は細菌などの微生物です。これら微生物がいると、生かしたり、増やしたりしたい細胞はほぼ100%の確率で微生物との生存競争に負けます。
 そして、活性化リンパ球療法において、微生物と接触する最初の機会が採血時であります。ですので、毛刈りをさせてもらい、消毒薬で消毒して微生物に触れる機会をできるだけ防ぎます。
 
 表題に「最初の関門」と記したのはそのような意味においてです。
 次回は、患者さんやオーナさんの目に触れることのない、でも大事なステップである、リンパ球を元気にする・増やすというステップについてお話しします。
  再生医療科 齊藤正二