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再生医療科便り(8)〜活性化リンパ球療法3「目に触れないところで」〜

2018年02月28日

再生医療科便り(8)〜活性化リンパ球療法3「目に触れないところで」〜

 前回は、活性化リンパ球療法の最初のステップである採血についてお話ししました。今回は、次のステップのリンパ球を元気にする・リンパ球を増やすということについて述べたいと存じます。図を参考にして下さい。
 
 当初はこのステップについてはお話ししないでおこうと考えておりました。と言いますのも、このステップは専門的に過ぎますし、患者さんやオーナーさんに直接見える所ではないからです。しかしながら、専門的なことはさておき、見えない所で何に注意しているかを、お話ししておく事は、オーナー様に安心してこの治療法を使っていただくことに繋がるのではないかと考えました。
 
 それでは、何に注意しているのか。一点だけです。それは細菌などの微生物を混入させないことです。なんのことはありません。採血の際に注意していることと同じです。前回述べましたように、微生物がいると、生かしたり、増やたりしたい細胞はほぼ100%の確率で微生物との生存競争に負けます。
 
 採血した血液からリンパ球を得て、リンパ球を元気にして、増やす入れ物(培養バックと言います)に入れる流れ図を示しています。ここで注意してほしいことは、遠沈管と呼ばれる容器のふたが開くことです。この操作を普通の室内で行うと、微生物が入ってきてしまいます。
 
 そこで、微生物が入ってこないようにした小部屋を利用します。クリーンベンチと言います。クリーンベンチは、滅菌した空気が一方向にしか流れないようにした装置で、ここでふたを開ける操作をしても微生物が入ってきません。
 また、遠沈管のふたの所に付いている微生物を焼いたり、吹き飛ばすために、ガスバーナーの熱い上昇気流を利用します。
 この二つの特殊な装置と簡単な機器を使用することで微生物が紛れ込むのを防ぎます。
 
 このようにして培養バックに収まったリンパ球を二週間かけて、元気にして増やします。
 そしていよいよ患者さんに戻すときが来ました。

  再生医療科 齊藤正二