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再生医療科便り(10)〜活性化リンパ球療法と免疫療法のまとめ〜

2018年03月06日

再生医療科便り(10)〜活性化リンパ球療法と免疫療法のまとめ〜

 再生医療科の齊藤です。今回は、今までお話ししました「活性化リンパ球療法」と「免疫療法」についてまとめたいと思います。併せて、次回からのお話の予告をしたいと考えております。
 
 「活性化」とは、元気にすること、ですから「活性化リンパ球」とは、元気になったリンパ球、あるいはリンパ球を元気にすることを意味します。それに「療法」と付いていますから、活性化リンパ球療法とは元気になったリンパ球を使った治療法です。では何を対象にした治療法かと申しますと、ガンに対する治療法です。
 
 動物あるいは人において、一日に約五千個のガン細胞が生まれていると言われています。しかし、大事になかなか至らないのは、このガン細胞をリンパ球を中心とした免疫に関わる細胞が、コツコツとやっつけるからです。しかしながら、これら免疫系の細胞も万能ではなく、ガン細胞を見逃してしまうことがあります。見逃されたガン細胞はその速さゆえにどんどんその数を増していきます。病気としてのガンの発生です。ある程度まで育ったガンは、仇であるリンパ球を働けなくする、言葉をかえると「元気を奪う」ようになります。そして自分に有利な環境を作りさらに増殖します。悪い方に回り始めました。
 
 活性化リンパ球療法とは、この落ち目になったリンパ球を人為的に元気にして、もう一度ガンにアタックをかける治療法といえます。悪い回りに足止めを食わせる治療法です。
 
 ところで、動物の体は何十億という細胞からできています。一つのガン細胞は元をたどればこの何十億の細胞の一つから生まれます。ですからガン細胞と正常の細胞は程度の差はありますが似ています。しかし違うところもあります。その違いは細胞表面にも現れます。この違いをリンパ球は見分け、ガン細胞に対して攻撃を仕掛けます。「免疫療法」とはこのリンパ球の働きを使ったガンの治療法です。
 
 では、リンパ球はどのようにして違いを見分けるのか、次回以降、このことを中心にお話ししたいと思います。そしてそこでのお話を使って、当院でご提供している第二の免疫療法「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」について触れたいと思います。
 
 最後に、活性化リンパ球療法のお話をしていて思い出した映画のスチール写真を掲げます。映画の題名は「チャンプ」。ダメ親父の元ボクサーが息子に励まされて再びリングに立つ映画です。

  再生医療科 齊藤正二