たいせつブログ

スタッフが動物さんのことや日々のことなどを発信!



再生医療科便り(11)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道1「人相書き」〜

2018年03月09日

再生医療科便り(11)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道1「人相書き」〜

 ふるさとにいる頃、夏は涼みがてら、父親とよく映画館に行きました。小学校に上がる前からですから、映画とは四十年以上のつきあいとなります。写真は最近見た「柘榴坂の仇討」の一場面です。主人公が、主君の仇の人相書きを見ながら町を歩いているところです。
 
 さて、前号の最後で、「リンパ球はどのようにして、正常な細胞とガン細胞の違いを見分けるのか」と記しました。そして、これが当院でご提供している第二の免疫療法「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」につながるということにも。
 
 実は、違いの見分け方は、簡潔で、リンパ球はガン細胞の人相書きを持っており、これに合う細胞をガン細胞と判断しています。この判断以降、ガン細胞へのアタックが始まります。
 
 リンパ球の持つ人相書きには二つの特徴があります。
 
 一つは、この人相書きには、ガン細胞のすべてが描かれているわけではなく、一部分であることです。
 二つ目は、それぞれのリンパ球は一枚の人相書きしか持っておらず、しかもそれぞれ違うということです。図を参考にして下さい。
 
 ここまで読んで下さった方は、このような人相書きを持ったリンパ球が体内をパトロールして、その道中で見つかったガン細胞をやっつけるというストーリーを思い浮かべるのではないでしょうか。かく言う私も最近までそうでした。この筋、ないわけではないようですが、事情はもう少し複雑なようです。そして、ここに至って重要な役割を担うのが、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」の樹状細胞です。
 
 次回はこのあたりの事情についてお話をさせていただきます。
 
  再生医療科 齊藤正二