再生医療科便り(14)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道4「ここまでのまとめ」〜
2018年03月16日
今号では、今までお話ししました「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」についてまとめたいと思います。
このガンに対する治療法には、二人の主役がいます。一人はリンパ球であり、もう一人は樹状細胞です。この樹状細胞が一枚噛んでいることが、この治療法の特徴であり、以前にお話ししました「活性化リンパ球療法」との違いです。
この樹状細胞は、三つのはたらきを担っています。
一つ目は、身体の外から入ってくる細菌やウィルスをやっつけたり、身体の中に生まれたガン細胞を叩いたりします。
二つ目は、細菌やガン細胞のような厄介者の所にリンパ球を含む身体を守る細胞達を呼び込むことです。
三つ目は、その厄介者の特徴を、リンパ球に伝えることです。
一方、リンパ球は、樹状細胞が示す厄介者の特徴と、自分が持っている情報(以前、手配書と書いたものがそれに当たります)を照らし合わせます。そしてその二つが合うリンパ球が、厄介者のやっつけるのに専念します。
樹状細胞は、例えて言うなら、南海ホークスの野村克也のようなプレイング・マネージャーです。自ら厄介者をやっつける最前線にいながら、同時に厄介者をやっつける他の細胞(リンパ球はその一つです)をコントロールします。
一方、リンパ球は、ゴルゴ13のようなスナイパーであり、狙った的を外さずアタックをかけます。
「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」とは、樹状細胞とリンパ球のこの連携を利用したガン治療法と言えます。
次号では、いよいよ「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」の実際についてご説明いたします。
再生医療科 齊籐正二