たいせつブログ

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再生医療科便り(16)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道6「外科療法との関係」〜

2018年03月18日

 前号までで、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」について、現状私が知っていることと、実際にやっていることのすべてをお話しました。
 そして、課題として、表面から触れることのできない腫瘍に対する対処を挙げました。私見を述べれば、このような腫瘍に対しては「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」だけでなく、事情の許す限り外科療法と併用するのが望ましいと考えます。と言いますのも、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」の主役の一人である樹状細胞の面目は、敵(ここでは腫瘍)を知っていると言うことだからです。
 
 一番望ましいのは、体の中にある樹状細胞がガン細胞を見つけ、リンパ球にその存在を伝え、やっつけてもらうことです。生き物が若い時は、腫瘍に対する免疫に関わる細胞達のはたらきは充分と考えられます。だから大事にならない。
 しかし、年を重ねてくると免疫の働きは落ち、ガン細胞を見逃し、腫瘍が大きくなることを許してしまいます。そして大きくなった腫瘍は免疫の働きを削いでいきます。腫瘍を患った患者様が風邪などの感染症にかかりやすいのはこのためです。免疫系は二重に足かせをはめられます。年齢に、腫瘍に。
 
 ここにおいて、先に触れた「活性化リンパ球療法」や、今回の話の主である「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」の意義が見えてきます。どちらの療法も、免疫系にはめられた足かせを外す治療法であること、言い換えれば「元気にすること」、「増やすこと」ことが主眼となっています。。
 元気になった=活性化されたリンパ球は点滴によって、一躍体内を駆け巡ります。
 
 樹状細胞は、その役割からして敵(腫瘍)を知っていることが大切です。ここにおいて、外科的に取り出した腫瘍の塊が意味を持ってきます。これを樹状細胞に「見せる」ことで、相手を知ってもらうのです。
 以上が、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」と外科療法を組み合わせるのが望ましいと申し上げた理由です。
 
 では、外科療法が適用できない場合はどうするのか。化学療法・放射線治療・丸山ワクチンを中心とした免疫療法で。
 
 次号では、今までご紹介しました「活性化リンパ球療法」と「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」についてまとめることと、実際にやっていて良く受けるご質問についてお答えする予定です。
 
  再生医療科 齊籐正二