たいせつブログ

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再生医療科便り(17)〜免疫療法のまとめとよく受けるご質問、とりあえずの大団円〜

2018年03月19日

 前回までで、「活性化リンパ球療法」と「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」についてお話してきました。今回はそのまとめです。あわせてこれら治療法について、皆様からよく受けるご質問にお答えします。
 
 リンパ球という細胞にはガン細胞をやっつける働きがあります。しかしながら、年齢を重ねてくると、その働きが落ちてガン細胞が増えることを許すことがあります。またガン細胞は、いったん増えるとリンパ球の働きを抑えるようになります。この負のスパイラルのため、老齢になってから腫瘍を患う患者様が増えます。そこで、この弱ったリンパ球を人為的に「元気にさせ」「数を増やす」のが「活性化リンパ球療法」です。
 
 一方、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」は、元気になったリンパ球が効率よく働けるよう樹状細胞という司令官を別に登場させる治療法です。樹状細胞はリンパ球に「ここにガン細胞がいるよ」「こんな顔している」とリンパ球に告げます。これを受けてリンパ球の中で、このガン細胞をやっつけるに適したものが名乗りを上げ、ガン細胞に立ち向かいます。
 以上が二つの治療法のまとめです。
 
 よく受けるご質問としては次のようなものがありました。
 
 1.免疫療法の特徴:一言で言えば体への負担が少ないことです。それはこの治療法が採血と点滴からなっていること、また、患者様ご自身のリンパ球・樹状細胞を体に戻すので副作用がほとんどないと言うことです。
 
 2.実際の治療法は?:まず採血をします。そして2週間後、元気にして増やしたリンパ球・樹状細胞を体に戻します。これを6回繰り返します。ただし、患者様の状態を見て、6回を1回にしたり、1か月に一度だけ実施することもあります。その意味では融通の利く治療法といえます。
 
 3.他の治療法との相性は?:他の治療法と衝突することはほとんどありません。むしろ、他の治療法と組み合わせた方が、よい経過が得られることが多いと考えます。例えば外科で患部を取り去り、残りの細かな部分を免疫療法が担当するなどです。一部の化学療法とは相性が悪いことがあるので、免疫療法の間隔を調整します。
 
 以上がよく受けるご質問です。他にご不明の点がございましたらいつでもお気軽にご相談下さい。
 次号では、免疫療法を主題に少し深いお話をする予定です。
  再生医療科 科長 齊籐正二