たいせつブログ

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再生医療科便り(18)〜病気との付き合い方1〜

2018年03月20日

 前回、当院で行っている免疫療法についてまとめ、あわせて良く受けるご質問にお答えしました。
 今回は、この一連の免疫療法についての記事を書きながら考えてきたことを記したいと思います。
 
 実は、最近まで風邪を引いておりました。熱が出て、やがてのどが腫れてきて最盛期を迎え、そしてそれらの症状が治まって回復に至る。いつもの風邪のパターンです。
 何十回と発病し、回復することを経験いたしますと、「治る」ことが当たり前のように思えてきます。しかし一方で、同じように風邪を引き亡くなる方もいることを思い合わせますと、病気が治るということが大変なことであることに気づきます。
 
 約6年間、今の職場でお世話になり、患者様と接しました。治るということを「元どおりになる」と意味づけた場合、そうはいかない現実に対することも多々ありました。慢性腎不全のネコさん、免疫療法の対象である腫瘍を患っている患者様・・・。
 
 このコラムを記すようになり、免疫療法をさらに深く勉強するようになりました。そして、この療法が、外科療法や化学療法ほどには切れ味の鋭い治療ではないことに気づきました。急いで断れば、免疫療法が無力ということではありません。「元どおりにする」という位置に立てば、外科療法などには一歩引いてしまうということです。免疫療法の主眼は「腫瘍を囲い込むこと」、別の言葉に置き換えれば、「これ以上悪くしない」、「腫瘍を身の内とすること」でしょうか。
 
 話は、大分難しく、でも大事なところにさしかかってきました。次回、このお話をもう少し整理して深めたいと存じます。
  再生医療科 齊籐正二