再生医療科便り(20)〜先端医療についての私見〜
2018年03月26日
今回は前回お話ししましたように先端医療について私見を述べます。
異論はあるでしょうが、先端医療をここでは生き物に関わる最も新しい知識を基に編み出された医療技術とします。iPS細胞に代表される再生医療と呼ばれる分野もその一つに数えられるでしょう。免疫の腫瘍に対抗する力を利用した免疫療法もこの括りに入ります。
先端医療の目指すところは、多くは今まで治すことのできなかった病気を治す、今までの治療法よりも効果的に治す、あるいは副作用が少ないことなどなど。
また、先端医療には、今までの治療法にないもう一つの特徴があります。それは、その治療を受けた患者様が少ないと言うことです。このことのために、その治療法の効果の推定が難しい時があります。理屈の上では効果があると考えられるのですが、生き物は理屈通りにならない場合があります。
現在、動物さんに対する免疫療法の効果について、治療の経過が集められているところです。その目的は、ある腫瘍について免疫療法がどの程度有効なのか、どのように行えば効果的なのかを探ることです。目の前の患者様は唯一無二の存在です。免疫療法を行うに当たって、できるだけの情報を基により適切であるよう図りながら、一方でどうか効きますようにと祈る思いが生じます。
次回以降、あらためて免疫療法を振り返ります。その目的とするところは、掲載した間に免疫療法が進んできたのでそれに触れること、並びに腫瘍と自己免疫疾患に深いつながりがあり、そのため免疫療法が腫瘍だけでなく、自己免疫疾患についても有効であると思われることについて述べることです。調べながら同時に記していく、右往左往しながらの道中になると思いますが、以後もお付き合い願えればと思います。
再生医療科 齊籐正二