たいせつブログ

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再生医療科便り(21)〜行きつ戻りつ、また行く、免疫療法再び〜

2018年03月29日

再生医療科便り(21)〜行きつ戻りつ、また行く、免疫療法再び〜

 ♫どん天模様の空の下・・・♫ おーどうした、いきなり「たま」の曲なんかを持ち出してきて。とうとうおかしくなったかとお思いの方もあるやもしれませんが、大丈夫です。原稿を書いている今の空が曇りで、ふとこの歌を思い出しただけです。
 
 原稿の締切が近づくと、いつも思い出すのが「まんが道」です。ご存じの方も多いと思いますが、藤子不二雄をはじめ「トキワ荘」に集まった漫画家の物語です。この物語を知ったのは、銀河テレビ小説というテレビドラマでありました。この中で締め切り日に追われて苦しんでいる主人公達が何度も描かれます。
 
 思い出ばかりにとらわれてはいけない、前に進まなければとも思うのですが、私自身はそこまで肩の力が入りません。勝手に頭の中に生起してくる思いはそのままでいいのではないか。行きつ戻りつ、目の前でつまずいている人がいれば肩を貸せればいい。
 
 脳みそとは不思議なもので、「曇り空」ひとつで色々なことを思い出させます。科学の世界では「最後の未踏峰」とも「残された暗黒大陸」とも言われているようです。私がこのシリーズで取り上げている免疫学もかつてそう呼ばれた時代がありました。いやそんなことはない、まだ分からないことは沢山あると専門家の人には怒られるかもしれません。たしかに、この駄文を書いている間にも免疫学は相当に進み、へーそんなことがあるんだぁなどと驚いている始末です。
 
 しかしながら、分からないので試さなければならないことと、分からないところが分からないということの間には、本質的な違いがあります。そして、私が常に求めてしまいますのは(これは性分です)、後者です。世界のルールともいえます。そして薄々感じてはいるのですが、そのルールを、もし手に入れることができたとしても、世界はその途端に分からないものになってしまうだろうということです。
 世界は(それは動物さんのからだでも良いですし、人でも結構です)、見たいように見せてくれる、しかし実際はそれとは違う何者かです。だから、診察は少なくとも私にとってはとても難しいものです。しかし、鈍亀は歩きます。前に進まなければ、分からないものが何かも分からないからです。
 
 今回は免疫療法について進んできた部分や、腫瘍と自己免疫疾患の入り口に触れるつもりでしたが、話しがあらぬ方向に行ってしまいました。しかし、私の直感は、今日ここに記したことが、これからのお話につながっていくと言っています。なんだかぁ、危ない人だなぁと思わないでくださいね。ここの所、心身疲れてはおりますが、この直感を支えているのは、他ならぬ毎日の診療の現場です。
 
 次回から、免疫のお話をする予定です。