たいせつブログ

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再生医療科便り(25)〜獲得免疫について3〜

2018年04月03日

 2回前より、ジェンナー(Edward Jenner)を端に発する現代免疫学のお話を始めました。最初に「獲得免疫」を挙げることにしました。これについて二つの宿題を掲げました。そのうちの一つ「獲得免疫という言葉の意味するところ」について前回に続いてお話ししたいと存じます。
 
 前回「獲得免疫」という言葉が最近のものでもあるにも関わらず以前から知っているように感じたのは、前に習った『免疫』(以後、二重括弧で記します)という言葉に「獲得」という言葉が込められているからだと書きました。別の言葉にすると自分の頭の中では「獲得免疫」=『免疫』となっていうことです。
 
 しかしながら、このままではせっかく立ち上げた「獲得免疫」という言葉の真意を見逃すことになります。「獲得免疫」という言葉には「獲得」を強調したいという思いがおそらくあるのでしょう。つまり『免疫』に内蔵されていた「獲得」を前に出してきた。これにより「獲得免疫」の「免疫」には字義通りの「疫(病気)を免れる」が残りました。
 
 以上の考察より(考察というのもおこがましいのですが)、「獲得免疫」とは「病気を免れる仕組みで獲得したもの」とするのが良いのではないでしょうか。ここまでくると「病気を免れる仕組みで前もってあるもの」が存在するのではないか考えられるようになります。そんなものあるの?あるのです。「自然免疫」と称されるものがそれに当たります。最近になり「自然免疫」の仕組みがそれまでの原始的イメージとはかなりかけ離れた精巧なものであることが専門外の人にも知られるようになりました。この流れのため『免疫』⇨「獲得免疫」と言葉の入れ替えが進んだのだと存じます。