たいせつブログ

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再生医療科便り(30)〜獲得免疫について8「ジェンナーの時代5」〜

2018年04月09日

再生医療科便り(30)〜獲得免疫について8「ジェンナーの時代5」〜

 ハンターの生きた時代は、イギリスが大英帝国となる前の上り坂の頃であり、その影響の及ぶところから新奇の生き物の標本やその一部が国内に持ち込まれるようになり、それらのものは時としてハンターの生き物に対する見方の変更を迫ることがありました。ハンターが幸いであったのは、それ以前、あるいは同時代の「人間」が生物を含む事物の見方を変更することの経験を積んでいたことがありました。そのため、彼は目の前の「事実」を無理やりそれまで正しいとされたきた考え方(例えばアリストテレス、例えばガレノス、例えば・・・)にはめ込もうとするのではなく、それらの考え方に変更を加える、ひっくり返す、あるいは新しい考え方を編み出しました。旧来の考え方の重力圏からは遠いところにいました。
 
 このハンターの愛弟子であるジェンナーは師匠の物事に対する姿勢をまねて、やがて自分のものにしていきました。
 
 また、ジェンナーがある試みをためらっている時は「なぜ考えるのか、なぜ実験しないのか」と手紙で彼のお尻を叩いているハンターがいました。
 
 ひょっとすると、ハンターあってのジェンナーの種痘開発であったのかと空想するほどに両者の関係は緊密でありました。次号に続きます。
 
  再生医療科 齊籐正二