再生医療科便り(31)〜獲得免疫について9「ジェンナーの時代6」〜
2018年04月10日
生きている間にうれしいことはいくつもあり、その中に本との出会いがあります。
22号のブログから免疫学の歴史を書き始めました。ジェンナー(Jenner, Edward, 1749-1823)から始めたこの試みは、師匠であるハンター(Hunter, John, 1728- 1793)へと流れて行きました。それはジェンナーの種痘開発にハンターが間接的ではあっても大きく関わっているとの思いからです。
もっともついぞこの間までハンター、そしてハンターとジェンナーの関係を知りませんでした。そのことを教えてくれたのは前号写真を載せました山内の記したものであり、その本を紹介してくれたのは古くからの知り合いでした。持つべきものは友と本です。
さて、ハンターとジェンナーの関係はなんとか消化できたのですが、ジェンナーの牛痘接種に至るまでのほぼ十八年に渡る営みがまだ咀嚼できておりません。ジェンナーが、牛痘に罹ったことのある人が天然痘に罹っても軽くすむことを知ったのは、十八年のうちの初期の頃です。それからの長い期間の活動に触れることに、この項を書き始めた理由である免疫と腫瘍の関係、腫瘍免疫と自己免疫疾患の関わりに関することがあるかははっきりしません。しかしながら、人の営みは全宇宙に匹敵すると私は信じるものです。
次号からはなんとかジェンナーの足跡を辿れるようにしたいと存じます。
再生医療科 齊籐正二