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再生医療科便り(32)〜獲得免疫について10「ジェンナーの時代7」〜

2018年04月11日

再生医療科便り(32)〜獲得免疫について10「ジェンナーの時代7」〜

 高倉健は私にとって格別の存在であり、映画「遥かなる山の呼び声」は北へ向かうきっかけとなりました。映画の中で草競馬に歓声を上げ、お弁当を楽しむ場面があります。その大らかさは、三十年余りたった今も胸の何処かを揺さぶります。
 
 えらいことに手をだしたなぁというのが今の感想です。免疫学の歴史を記そうとしたことに対して。この歴史が医学の歴史とほぼ同義であることに今更ながら気づきました。それほどまでに人間は感染症に悩まされてきました。天然痘、ペスト、梅毒・・・。抗生剤やワクチンの登場はほんの少し前のことです。
 
 医学史の本の中では、一村消滅などと書いて感染症の猛威を伝えています。よくまぁ人類は生き残れたものです。それを支えていたのは免疫でした。「二度目なし」。どんなに凄まじい感染症の中においても生き残ってきた人がいました。そしてその人たちは再び同じ感染症に曝されても軽くすむことが随分昔より知られておりました。これを利用しない手はないと考えた人がいました。
紀元前一千年頃のヒンズー教の経文に人痘種痘、すなわち天然痘患者の膿などを使ってわざと天然痘にかからせたことが記されているそうです。時代下り、人痘種痘はトルコを経由して18世紀英国に伝わりました。そうハンターやジェンナーの生きていた時代と場所に。
 
次号では人痘種痘とジェンナーたちについて記したいと思います。

  再生医療科 齊籐正二