再生医療科便り(35)〜微生物学を巡って1「パストゥールHub1」〜
2018年04月14日
前回までジェンナー(Jenner, Edward, 1749-1823)を中心にして、牛痘種痘すなわち天然痘予防について記しました。またこれを通じて獲得免疫の一端に触れました。
さて、ここで問題となるのは天然痘予防に寄与したものは、あるいは獲得免疫の出発点にいるものは何なのかです。これについては「微生物」というのが答えの一つになります。そして微生物を的確に捉えた人物がパストゥール(Louis Pasteur, 1822-1895)です。そこで以後この人物について触れていきたいと存じます。
パストゥールの最初の業績は酒石酸についてであったと言われています。酒石酸はワイン樽の底に溜まるところからその名があります。酒石酸は有機化合物の一つです。すなわちパストゥールの科学者としての最初の経歴は「化学者」であり、「微生物学者」ではありませんでした。
次回以降、酒石酸についてお話ししたいと存じます。
再生医療科 齊籐正二