診察室の風景(4)〜聴診器について〜
2018年04月29日
診療室にある身近な物を題材に、この診療だよりを綴っておりますが、今回は聴診器についてです。
病院のシンボルのような機器ですが、生まれたのは意外と新しく19世紀になってからのことだそうです。
原理は簡単で体の表面の振動を聴診器の膜の振動に置き換えて、これを聞くというものです。それまでの体に耳を当てて聞くのに比べると、音が明瞭に聞こえるようになったとのことです。これにより、心臓、呼吸に関わる器官(気管、肺など)の異常を以前よりもはっきりと捉えることができるようになったようです。ドラマ「仁」にも、手に入る物で作った聴診器が出てきますが、聴診器の利便性を痛感して、矢も盾もたまらず作ったのではないかと想像します(原作ではどんな感じなのでしょう?)。
さて、聴診器が手に入ったとしたら、まずどこの音を聞きますか。これは想像なのですが、心臓の音ではないでしょうか。手で触れても分かる心臓の運動は聴診器の格好の対象です。
心臓の音を聞く時、音の大きさ、リズム、音の成分を聞いています。また、場所を右真ん中左と変えてみて、音の広がりを聞いています。
これらを総合して、心臓の様子を頭の中で構成します。私はまだこの域に達してはいませんので、オーナー様が教えて下さる患者様の常の様子が大切な手がかりとなります。
次回は、聴診器でよく聞く呼吸に関わる器官についてお話したいと存じます。
副院長 齊籐正二