診察室の風景(7-2)〜耳鏡について(続き)〜
2018年05月08日
車窓から何となしに眺めれば梅が咲いておりました。よく見れば桜が散り始めています。人生のほぼ半分を北海道で過ごしましたが、この地の春の力強さは格別だなあと毎年思ってしまいます。
皆様方におかれましては如何お過ごしのことでしょうか。
前回は耳鏡についてお話しました。言葉に含まれていることでお分かり頂けるように、耳に関する検査道具で、具体的には耳の中をのぞく物です。
さて、この耳鏡ですが、耳の中の検査だけでなく、口の中をのぞくのにも使います。誰の? ウサギさんの。ウサギさんの奥歯はそのつくりからして外から見ることができません。そこで、耳鏡を口の中に入れてのぞくのです。
下の写真は、耳鏡本体とそれに付ける二種類の先端(チップと言います)です。左のやや長いチップは耳の中を見る時に使うもので、右の本体に付いている短めのチップがウサギさんの奥歯を見る時に使うものです。よく見ると表面に無数の傷が付いていますが、これはウサギさんが奥歯を使って噛んだ跡です。
ウサギさんの歯は文字通り、生命線で、ここのトラブルは寿命を縮め、生活の質を著しく損ないます。ですので、体調不良のウサギさんが来院された場合、ほぼ例外なく歯のチェックをします。
ついでに申せば、ウサギさんの歯の健康を保つためには牧草(チモシー、イタリアンあたりが良いです)が必須です。適度の歯切れの悪さが、噛むたびに歯を適度にトリミングしてくれるからです。
副院長 齊籐正二