たいせつブログ

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診察室の風景(9)〜「戻ろうか」、「戻ってこんでええ」〜

2018年05月11日

 1991年公開の映画に「Backdraft」(バックドラフト)という映画があります。消防士たちを描いたものでした。長岡で学生をやっていた私は、ロバート・デ・ニーロ見たさに新潟まで出かけた記憶があります。が途中から、自分の命と引き替えに他人を救う源がどこにあるのか物語の中に探していました。
 
 それに先立つ1990年の朝の連ドラに「凜凜と」があります。先年亡くなった田中実が主演で、連ドラには珍しく男が主人公でした。主人公の友の一人が「時として他人が自分と同じ価値を持つことがある」という場面があり、ずっと頭を離れずにいます。
 
 獣医師の免許を得て、紆余曲折して今診療台の前に立っています。患者様の最期に立ち会い、飼い主様の姿を見るにつけ、その方にとって同じかそれ以上の重みがあることに気づかされます。
 
 久方ぶりに、郷里に電話をしました。母親はのんきな調子で、父が倒れたこと、それも一年前に、今はだいぶ元気になったことを伝えてきました。「戻ろうか」、「戻ってこんでええ、そこでお世話になっときな」。二人にとって自分がどれほどのものか思い知らされました。
 
 今回は心象風景の体となりました。次回からは、いつものかたちの診察室の風景をお伝えします。
 
  副院長 齊籐正二