診察室の風景(9-2)〜手について〜
2018年05月12日
これまで、診察室にある器物についてご紹介してきましたが、今日は一番身近な「手」についてお話したいと思います。
手で最初に思いつきますのは「触診」です。日常、飼い主様もよく目にすると思いますが、口の中を見たり、喉元を触ったり、胸に手を置いてみたり、お腹を軽く押したり持ち上げてみたりと、獣医師は手で身体のあちこちを触ります。これにより患者様の全体の印象と異常の有り様を把握します。
触診は、五感を使っての診察、これを五感診と申しますが、この五感診の一つです。五感診の実際は、飼い主様からのお話を念頭に置いて、手で触りながら、目で見て、においをかぎ、音を聞いて、まとめて患者様の状態を掴みます。実際の診察において最初に行うものであり、詳細な検査(例えば血液検査)を選択する際のよりどころになる大切なステップです。
当初、今回のお便りは「触診について」とする予定でしたが、「手」つながりで、いろんな手が思い浮かんできましので、改題しました。看護師の手、受付の手、トリマーの手。これらの人たちとうまくつながらないと獣医師の仕事は成り立ちません。これらがうまくつながり、患者様とその飼い主様のためになる病院になりますよう努めます。
副院長 齊籐正二