診察室の風景(24)〜血球計数器(その4)〜
2018年06月05日
前回に続きまして血球計数器のお話をしたいと思います。
血球計数器は、図1に示しましたアパーチャと呼ばれる部分を赤血球などの血球が通過するときに電圧の変化が生じること、この電圧の変化が血球で違うことを利用して血球のそれぞれについて数え上げること(赤血球は何個、血小板は何個、白血球は・・・というように)を前号まででお話ししました。
図2は当院で使っている血球計数器の仕組みを示したものです。この図に(1)検出回路とありますが、ここで電圧の変化を把えます。
この電圧の変化を図にしますと図3の下側にある「パルス信号」と書かれているものになります。血液の中にはたくさんの血球があり、これらが次々とアパーチャを通過する度にピコピコと電圧の変化が生じます(図4)。
これら一連の電圧の変化を図2にある(3)増幅回路以下でさばくことで、電圧の変化の大きさに応じて図5のようなグラフが得られます。血球のそれぞれは大きさにバラツキがあり(注1)、それに応じて電圧の変化もバラツキますが、大きく見るとそれぞれの血球について山状の固まりができることが分かります(図5では赤血球と血小板に対して二つの山ができています)。
そしてそれぞれの山について、山を作っている縦棒を足し合わせることで、血球それぞれについて個数を知ることができます。
副院長 齊藤正二
注1:例えばヒトの赤血球は直径が7μmと言われていますが、これは平均値であって赤血球みんなが7μmであるわけではなく6.9μmもあれば7.1μmもあるということです。
訂正:前号で「ここを血液の中に含まれる赤血球や血小板や白血球が通過します。このとき、検出器チャンバーに流れている電流が変化します。」とありますがこれは誤りです。正確には「ここを血液の中に含まれる赤血球や血小板や白血球が通過します。このとき、電極間の電圧が変化します。」となります。訂正するとともにお詫び申し上げます。