診察室の風景(25)〜血球計数器(その5)〜
2018年06月07日
血球計数器もそろそろ大詰めとなりました。今回と次回でHCT(ヘマトクリット)とPCV(Packed cell volume)の関係について述べます。
さて前回までをまとめますと
1.血球計数器にはアパーチャと呼ばれる狭い隙間があること(図1)。
2.アパーチャを物体が通るとその体積に応じて電圧の変化が生じること。
3.赤血球と血小板では体積が違うので、電圧の変化も違い、これを手がかりにして両者を区別してできること。
実際には、赤血球にも多少の体積の違いがあり、同様のことが血小板についても言えるので、図2のような二つの山になります。ただ赤血球と血小板では大きさが大分違うので二つの山はほとんど重なりません。そこでそれぞれの山について縦棒を足し合わせると赤血球いくら、血小板いくらと数えることができます。
ところで、それぞれの縦棒は体積別に並んでいるので、それぞれの山を成す縦棒の示す値、すなわち個数に縦棒の所属する体積をかけて、これらを全部足し合わせることで、全赤血球の体積、或いは全血小板の体積を求めることができます。
そして、測定に使う血液の体積が決まっていれば、その血液に占める全赤血球の割合を求めることができます。これこそはHCTの定義に沿ったものです。これをHCT(計数器)と表すこととします。
ところで、HCTの求め方はこれ一つなんでしょうか。実はもう一つあります。それについて次回述べてHCT(ヘマトクリット)とPCV(Packed cell volume)の関係について締めくくりたいと思います。
副院長 齊藤正二