再生医療科便り(25)〜獲得免疫について3〜
2018年04月03日 | 担当:たいせつ動物病院
2回前より、ジェンナー(Edward Jenner)を端に発する現代免疫学のお話を始めました。最初に「獲得免疫」を挙げることにしました。これについて二つの宿題を掲げました。そのうちの一つ「獲得免疫という言葉の意味するところ」について前回に続いてお話ししたいと存じます。 前回「獲得免疫」という言葉が最近のものでもあるにも関わらず以前から知っているように感じたのは、前に習った『免疫』... (省略されました)
再生医療科便り(24)〜獲得免疫について2〜
2018年04月02日 | 担当:たいせつ動物病院
前回より、ジェンナー(Edward Jenner)に端を発する現代免疫学のお話を始めました。最初の話題は「獲得免疫」だったわけですが、自分への宿題として、 第一は、牛痘接種で天然痘が予防できるその仕組みとは何か。 第二は、獲得免疫とは何か。 を挙げました。 この言葉には罠が仕掛けられており、免疫学に多少とも心得のある人が最初に引っかかります。 一については今... (省略されました)
再生医療科便り(23)〜獲得免疫について1〜
2018年03月31日 | 担当:たいせつ動物病院
晴れた日の空がなんとなく高いような気がします。 皆様におかれましてはいかがお過ごしのことでしょうか? 今回より免疫学の歩みを辿っていきます。まずは「獲得免疫」です。 ところで、知らないことは山ほどありますが、知っているつもりになっていることも同様であることを、今回のテーマである獲得免疫の稿を起こすにあたって改めて思い知りました。 獲得免疫の最初の主役は皆さ... (省略されました)
再生医療科便り(22)〜免疫学について〜
2018年03月30日 | 担当:たいせつ動物病院
ここまで免疫療法についてお話して参りました。免疫の持つ腫瘍をやっつける力を生かして腫瘍の治療を行うというのが免疫療法と言えます。この療法の説明のため、免疫を担う細胞、これを免疫担当細胞と言いますが、この細胞の働き方を述べました。あわせて腫瘍細胞の特徴を記しました。そして免疫担当細胞がどのようにして腫瘍細胞をやっつけるのかを書きました。 当初より、免疫療法を紹介することに主力を置いたため... (省略されました)
再生医療科便り(21)〜行きつ戻りつ、また行く、免疫療法再び〜
2018年03月29日 | 担当:たいせつ動物病院
♫どん天模様の空の下・・・♫ おーどうした、いきなり「たま」の曲なんかを持ち出してきて。とうとうおかしくなったかとお思いの方もあるやもしれませんが、大丈夫です。原稿を書いている今の空が曇りで、ふとこの歌を思い出しただけです。 原稿の締切が近づくと、いつも思い出すのが「まんが道」です。ご存じの方も多いと思いますが、藤子不二雄をはじめ「トキワ荘」に集まった漫画家の物語です。この物語を... (省略されました)
再生医療科便り(20)〜先端医療についての私見〜
2018年03月26日 | 担当:たいせつ動物病院
今回は前回お話ししましたように先端医療について私見を述べます。 異論はあるでしょうが、先端医療をここでは生き物に関わる最も新しい知識を基に編み出された医療技術とします。iPS細胞に代表される再生医療と呼ばれる分野もその一つに数えられるでしょう。免疫の腫瘍に対抗する力を利用した免疫療法もこの括りに入ります。 先端医療の目指すところは、多くは今まで治すことのできなかった病気を治す... (省略されました)
再生医療科便り(19)〜病気との付き合い方2〜
2018年03月23日 | 担当:たいせつ動物病院
前回、免疫療法の特徴を外科療法や化学療法と比べることで記しました。その特徴は「腫瘍を囲い込むこと」、別の言葉に置き換えれば、「これ以上悪くしない」、「腫瘍を身の内とすること」ということです。 図にそれぞれの治療法のイメージを描きました。外科療法は悪い部分は取ってしまう。放射線療法もほぼ同様で悪い部分を壊してしまう。化学療法は薬でやっつけてしまう。免疫療法は、図にあるように身動きを... (省略されました)
再生医療科便り(18)〜病気との付き合い方1〜
2018年03月20日 | 担当:たいせつ動物病院
前回、当院で行っている免疫療法についてまとめ、あわせて良く受けるご質問にお答えしました。 今回は、この一連の免疫療法についての記事を書きながら考えてきたことを記したいと思います。 実は、最近まで風邪を引いておりました。熱が出て、やがてのどが腫れてきて最盛期を迎え、そしてそれらの症状が治まって回復に至る。いつもの風邪のパターンです。 何十回と発病し、回復することを経験いたし... (省略されました)
再生医療科便り(17)〜免疫療法のまとめとよく受けるご質問、とりあえずの大団円〜
2018年03月19日 | 担当:たいせつ動物病院
前回までで、「活性化リンパ球療法」と「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」についてお話してきました。今回はそのまとめです。あわせてこれら治療法について、皆様からよく受けるご質問にお答えします。 リンパ球という細胞にはガン細胞をやっつける働きがあります。しかしながら、年齢を重ねてくると、その働きが落ちてガン細胞が増えることを許すことがあります。またガン細胞は、いったん増えるとリンパ球の働... (省略されました)
再生医療科便り(16)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道6「外科療法との関係」〜
2018年03月18日 | 担当:たいせつ動物病院
前号までで、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」について、現状私が知っていることと、実際にやっていることのすべてをお話しました。 そして、課題として、表面から触れることのできない腫瘍に対する対処を挙げました。私見を述べれば、このような腫瘍に対しては「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」だけでなく、事情の許す限り外科療法と併用するのが望ましいと考えます。と言いますのも、「樹状細胞ー活性化リンパ球療... (省略されました)
再生医療科便り(15)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道5「治療法の実際」〜
2018年03月17日 | 担当:たいせつ動物病院
前号までに、「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」のあらましについてお話ししました。 今回は、この治療法の実際についてお伝えします。 この、ガンに対する治療法には二人の主役がいます。一人は「リンパ球」であり、もう一人は「樹状細胞」です。どちらの細胞も血液の中にあります。ですから治療の第一歩は患者様より血液を得ることです。そしていくつかの手順を踏んで、リンパ球と樹状細胞を別々に取り出... (省略されました)
再生医療科便り(14)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道4「ここまでのまとめ」〜
2018年03月16日 | 担当:たいせつ動物病院
今号では、今までお話ししました「樹状細胞ー活性化リンパ球療法」についてまとめたいと思います。 このガンに対する治療法には、二人の主役がいます。一人はリンパ球であり、もう一人は樹状細胞です。この樹状細胞が一枚噛んでいることが、この治療法の特徴であり、以前にお話ししました「活性化リンパ球療法」との違いです。 この樹状細胞は、三つのはたらきを担っています。 一つ目は、身体の外... (省略されました)
再生医療科便り(13)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道3「樹状細胞について」〜
2018年03月13日 | 担当:たいせつ動物病院
前号で、リンパ球が効率よくガン細胞をやっつけるために、これらにガン細胞の所在と特徴を教える細胞の必要性を記しました。そして実際にこの機能を担う細胞があり、それが樹状細胞であることもお伝えしました。 樹状細胞には、この他にもう一つはたらきがあります。それはガン細胞をやっつけるということです。リンパ球と変わらないようですが、リンパ球がガン細胞に狙いをつけてやっつけるのに対して、樹状細... (省略されました)
再生医療科便り(12)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道2「見当たり捜査と樹状細胞登場前夜」〜
2018年03月11日 | 担当:たいせつ動物病院
さて、「相棒」というテレビドラマがあります。ずいぶんと長く続いているドラマです。その理由の一つは、人物造形のしっかりした脇役が多くいることにあると思います。捜査一課の伊丹刑事、鑑識の米山さんなどなど。そのような多彩な脇役群の中に「陣川君」という人がいます。捜査一課の経理担当でありますが、正義感が強く、やたらと捜査に首を突っ込みたがります。おっちょこちょいであることが仇となって、誤認逮捕を連... (省略されました)
再生医療科便り(11)〜樹状細胞ー活性化リンパ球療法への道1「人相書き」〜
2018年03月09日 | 担当:たいせつ動物病院
ふるさとにいる頃、夏は涼みがてら、父親とよく映画館に行きました。小学校に上がる前からですから、映画とは四十年以上のつきあいとなります。写真は最近見た「柘榴坂の仇討」の一場面です。主人公が、主君の仇の人相書きを見ながら町を歩いているところです。 さて、前号の最後で、「リンパ球はどのようにして、正常な細胞とガン細胞の違いを見分けるのか」と記しました。そして、これが当院でご提供している... (省略されました)
再生医療科便り(10)〜活性化リンパ球療法と免疫療法のまとめ〜
2018年03月06日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。今回は、今までお話ししました「活性化リンパ球療法」と「免疫療法」についてまとめたいと思います。併せて、次回からのお話の予告をしたいと考えております。 「活性化」とは、元気にすること、ですから「活性化リンパ球」とは、元気になったリンパ球、あるいはリンパ球を元気にすることを意味します。それに「療法」と付いていますから、活性化リンパ球療法とは元気になったリンパ球を... (省略されました)
再生医療科便り(9)活性化リンパ球療法4「最後のステップ」
2018年03月01日 | 担当:たいせつ動物病院
前々回と前回で、活性化リンパ球療法の最初のステップである採血と、次のステップである培養のやり方についてご紹介しました。 今回は、最後のステップである、採血から二週間かけて増やしたリンパ球を患者様に戻すことについてお話しします。 写真にリンパ球が増えたときの培養バックの様子を示しました。最初ワイン色に近い培地が、リンパ球が元気になり増えるに従って飴色に変わっています。 ... (省略されました)
再生医療科便り(8)〜活性化リンパ球療法3「目に触れないところで」〜
2018年02月28日 | 担当:たいせつ動物病院
前回は、活性化リンパ球療法の最初のステップである採血についてお話ししました。今回は、次のステップのリンパ球を元気にする・リンパ球を増やすということについて述べたいと存じます。図を参考にして下さい。 当初はこのステップについてはお話ししないでおこうと考えておりました。と言いますのも、このステップは専門的に過ぎますし、患者さんやオーナーさんに直接見える所ではないからです。しかしながら... (省略されました)
再生医療科便り(7)〜活性化リンパ球療法について2「最初の関門」〜
2018年02月27日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。 前回より当院で実施できる免疫療法のうち「活性化リンパ球療法」に説明に入りました。 「活性化」とは、リンパ球を「元気にする」ことを意味します。 また、この治療法の流れは図にありますように、採血、リンパ球を元気にする・リンパ球を増やす、これを患者さんに点滴する、となります。 図から解りますように、患者さんが関わるのは、採血と点滴です。時間にし... (省略されました)
再生医療科便り(6)〜活性化リンパ球療法1「活性化リンパ球療法とは?」〜
2018年02月26日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科便り 再生医療科の齊藤です。皆様におかれましては如何お過ごしですか。 前回までは、「ガンと免疫」についてお話ししてきました。今回から、免疫の力を使ったガンの治療法、すなわち「免疫療法」について触れたいと思います。現在当院では二つの免疫療法を行っています。今回はそのうちの一つ「活性化リンパ球療法」についてお話ししたいと思います。その理由は、この治療法が基本であり、... (省略されました)
再生医療科便り(5)〜ガンと免疫5「付いて離れて付いて・・・」〜
2018年02月24日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。 さて、「ガンと免疫」ということで始まったこのお便りですが、ここ3回はガンと免疫のしのぎを削る戦いの様子を書かせていただきました。今回は戦いの最終幕についてお伝えします。題して「付いて離れて付いて・・・」。 わが優秀なリンパ球は、ガン細胞の特徴を手がかりにガン細胞を見つけてはやっつます。この手がかりは細胞の表面の構造物であることが多いです。 一方、敵... (省略されました)
再生医療科便り(4)〜ガンと免疫4「変装、手がかり消失」〜
2018年02月23日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。。 ここまで、免疫とガンの関係についてお話ししてきました。 1回目では免疫力を再生させて、すなわちリンパ球を元気にしてガンに対抗する治療法があることをお伝えしました。 そして2回目ではではリンパ球がガンに対抗するために、ガン細胞の特徴を手がかりにすること、3回目では、その手がかりが細胞の表面の構造物であることが多いことをお話ししました。 ... (省略されました)
再生医療科便り(3)〜ガンと免疫3「つるつるとでこぼこと」〜
2018年02月22日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科便り 再生医療科の齊藤です。皆様如何お過ごしですか。病院に来られるときは道中お気をつけ下さい。 今回は、リンパ球とガンについてお話しします。 最初に、動物さんや私たちを形作っている細胞についてお話しします。 生物について学び始めた頃、私の細胞の印象は、表面が「つるつる」のボールでした。ちょうど写真の地球ような感じです。 しかし、学び続けているうちに、細胞の... (省略されました)
再生医療科便り(1)〜ガンと免疫1〜
2018年02月16日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。皆様、再生医療という言葉を最近耳にすることが多くなっていませんか?。 当院の再生医療科で現在力を入れているのは、体を守っているリンパ球という細胞を元気にさせて増やして、ガンに対抗するという治療法です。 ガンを患っている患者さんは、ガンに対抗する免疫の力が弱っていることが多いので、患者さん本人から取り出したリンパ球を、体の外で元気づけ増やしてから、再び体に戻すこ... (省略されました)
再生医療科便り(2)〜ガンと免疫2〜
2018年02月16日 | 担当:たいせつ動物病院
再生医療科の齊藤です。寒い日が続いておりますが皆様如何お過ごしですか。 今回は、体を守っているリンパ球という細胞を元気にさせて増やして、ガンに対抗するという治療法について、お話しします。 リンパ球は、「免疫」という体を守る仕組みに関わる細胞です。 免疫は文字通り、疫、すなわち病気から免れるということです。ここで言う病気は、免疫が調べはじめられた頃は、細菌やウィルスによる病気のこ... (省略されました)